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オリックス―巨人戦の試合開始前、プレ始球式を終え、ボールを受けた森友哉選手(中央左)と記念撮影をする福森大翔さん(同右)=2025年6月15日午後1時53分、京セラドーム大阪、有元愛美子撮影
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 (プロ野球、15日 オリックス・バファローズ8―3読売ジャイアンツ)

 お立ち台で「今日、始球式で……」と言いかけて、オリックスの森友哉は目頭を押さえた。言葉が継げなくなった。親友への思いがあふれた。

 始球式で福森大翔(ひろと)さんの球を受けた。大阪桐蔭高の同期はいま、29歳で、再発を繰り返すがんと闘う。2週間前にキャッチボールをしたときは腕が上がらず、数メートルの距離でも苦しそうだった。その彼が18・44メートルを届かせた。

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 今季、森自身は右脇腹のケガで開幕に出遅れ、本塁打がない。「自分の『打てない』とか、『どっか痛い』とかっていう苦しさは、ヒロトに比べたら屁(へ)でもない。一生懸命やるだけだなと思う」

 五回1死一、三塁で3ボールからフルスイング。右前への勝ち越しタイムリーを放った。

 高校の部活は過酷だった。森の記憶では、入学時に体重90キロ以上あった福森さんが1、2カ月で20キロほどやせた。「きついな」と声をかけあって、乗り越えた。

 その友へ。「ぼくたちもシーズン最後まで負けない気持ちでがんばります。ヒロトも負けないようにがんばってください」。声を震わせた。

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